今回のビル火災では、出火元のエレベーターホールで、ガスメーターがなぜガス管からはずれてボックスの床に落ちていたかが大きな謎だが、その謎を解く仮説が浮上した。
保険評論家の佐藤立郎さんが、こう言う。
「ガスメーターは、最初から外されていたと考えると辻褄が合います。火災後、歌舞伎町の知り合いに話を聞いて回ったら、「メーターを外してガスや電気を盗んでいる奴等はたくさんいる。歌舞伎町は、そういう無法地帯なんです」と言うんです」
つまり、こういうことだ。ガスメーターを管から外し、管をビニールホースなどで繋ぐ。こうすれば、ガスメーターを通らないため、料金が発生しないというのだ。
歌舞伎町関係者によると、「歌舞伎町では怪しい連中が「メーターを細工すればガス代や電気代が半分以下になるよ」などと言って売り込みにくることがよくある。検針がある前に元に戻して、終ればまた細工するんです」
という話もあるから、“ガス盗み”も十分ありうる話だ。
捜査本部などの調べで、メーターとガス管との接合部分のネジ山が溶けていたことが判明している。とすれば、火災の高熱で溶けた可能性が高くなるが、「700度以上で一定の時間熱し続けなくては、アルミ製のネジ山が溶けることはない。状況によって絶対に落ちないとは言えないが、過去の火災でメーターが落ちた例はない」(東京ガス広報)
しかも、メーターは下の床に真っ直ぐ立っていた。
「メーターに繋がった2本の管が同時に溶けて、そのまま落ちて立っていたというのは奇跡」(東京ガス関係者)
とすると、“ガス盗み”説が俄然有力となってくるが、東京ガス広報部の担当者は、こう言った。
「メーターは特殊な工具がないと外れないし、管の口径が合わないとガスが漏れてしまう。非常に危険を伴います。ガス代を払っていたかどうかは公表できませんが、メーターの検針は毎月していますし、最後の8月3日も異常はありませんでした」 |